学生や企業と東大阪の町工場をつなぐ存在。
「モノづくり観光」で地域活性を。
【(一社)大阪モノづくり観光推進協会】
「モノづくりの町 東大阪」に的を絞った情報を発信
「東大阪で唯一の観光ホテル『ホテルセイリュウ』の運営会社が倒産し、その支援を打診されたのが大阪モノづくり観光推進協会設立のきっかけです」と語るのは同協会の専務理事/事務局長を担う足立 克己(あだち かつみ)さんです。
約30年、大阪観光協会(現大阪観光局)に勤めた経験を持つ足立さんは「モノづくりの町 東大阪」が観光資源になるとひらめき、その読みが見事に的中。
「当時ちょうど文部科学省がキャリア教育に力を入れ始めたタイミングで、修学旅行の班別行動も一般化。教育旅行の誘致による地元活性化を図ろうと、ホテル内に地域交流推進室を立ち上げてモノづくり企業に賛同を呼びかけました。」
足立さんの尽力により当初は15ほどだった会員(モノづくり企業)は94に増え、また大手旅行会社との連携も相まって、大阪モノづくり観光推進協会は全国から年間約5000人~6000人の学生を受け入れる組織へと成長しました。
モノづくりの心を若者に伝えたい
大阪モノづくり観光推進協会が提唱するのは、東大阪および周辺地域のモノづくり企業と、東大阪の歴史や文化、風土などの地域資源をマッチングさせた新たな観光交流「モノづくり観光」を推進すること。
これにより地域への集客を図るとともに、東大阪という町のブランディングや活性化に貢献したいと考えています。「町工場で働くおっちゃんたちの姿、熱い思いにふれることで若者にモノづくりの面白さを伝えたい。
製造業は今話題のSDGs(持続可能な開発目標)ともかかわりが深く、どのモノづくり企業も環境問題や働きがいと経済成長、産業と技術革新の基盤づくりなどに早くから取り組んでいます」と足立さん。
実際に同協会のプログラムを体験した学生からは、「技術はもちろん、町工場で働く方々の仕事に向き合う姿勢に感動した」との声も多く寄せられ、足立さんをはじめとする協会の思い、モノづくり企業の思いは若者にしっかり届いています。
学生へのメッセージ
コロナ禍での緊急事態宣言などもあり、修学旅行を中止する学校が続出。現在はリモートでのプログラムの実施も行っていますが、それでも現場の熱量は学生の心をとらえ、足立さんのもとにはWebを介してモノづくりの魅力を体感した学生からの感謝のメッセージが次々と寄せられています(左写真上)。
「プログラムの内容は学校ごとの意向に沿い、オーダーメイドでつくっています。皆さまには、工場ならではの臨場感を五感で感じてもらいたい。学生だけでなく企業の視察研修も受け入れているので、若手社員にモノづくりの魅力を学ばせる場としても利用してほしいですね。コロナ収束後はインバウンドにも力を入れ、東大阪の町工場が生み出すmade in Japanのモノづくりを世界の人に見てもらいたいと思います。」
(専務理事/事務局長 足立克己)