修学旅行受入モノづくり企業の紹介

 モノづくりのまち「東大阪」には、年間約5000人~6000人の修学旅行生が訪れており、生徒たちを受け入れるモノづくり企業数は90社を超えています。
 今回は、修学旅行生を受け入れている「モノづくり企業」4社と、受け入れの推進を行っている「(一社)大阪モノづくり観光推進協会」の想いや実際に修学旅行に訪れた生徒たちが見学・体験できる内容について紹介します
 ※修学旅行生が見学・体験できる内容は、各企業の詳細ページをご確認ください。

【受入事務局】(一社)大阪モノづくり観光推進協会

【モノづくりの心を若者に伝えたい】
 大阪モノづくり観光推進協会が提唱するのは、東大阪および周辺地域のモノづくり企業と、東大阪の歴史や文化、風土などの地域資源をマッチングさせた新たな観光交流「モノづくり観光」を推進すること。
 これにより地域への集客を図るとともに、東大阪という町のブランディングや活性化に貢献したいと考えています。
 「町工場で働くおっちゃんたちの姿、熱い思いにふれることで若者にモノづくりの面白さを伝えたい。製造業は今話題のSDGs(持続可能な開発目標)ともかかわりが深く、どのモノづくり企業も環境問題や働きがいと経済成長、産業と技術革新の基盤づくりなどに早くから取り組んでいます」と足立さん。
 実際に同協会のプログラムを体験した学生からは、「技術はもちろん、町工場で働く方々の仕事に向き合う姿勢に感動した」との声も多く寄せられ、足立さんをはじめとする協会の思い、モノづくり企業の思いは若者にしっかり届いています。

野田金属工業株式会社

【一つとして同じものはない。それが野田金属工業のモノづくり】
 「終戦直後の満州で生きるためにつくった鍋が、モノづくりの喜びを教えてくれた」と語る野田 邦雄(のだ くにお)取締役相談役。この鍋が野田金属工業のモノづくりの原点、そして魂となり、手掛けるもの一つひとつに真心を込めるという姿勢が確立されました。
 ステンレスを中心とする金属加工により生み出されるのは、一品一様の建築金物。海外高級ブランドの内装材や人気テーマパークの装飾金物、ビルやマンションのエントランスを彩る庇、エレベーターの操作パネルまで、あらゆる場所に同社の技術が息づいています。
 「依頼者の思いを直に感じ取れる一品生産にこだわるからこそ、量産品は請けません」とは山本 秀雄(やまもと ひでお)代表取締役社長。
 営業を担う人材を置かなくとも手掛けた製品が品質を雄弁に語り、仕入先や取引先がその実力を口々に伝えてくれる。野田金属工業はモノづくりのまち・東大阪になくてはならない存在として、今なお進化しています。

株式会社富士製作所

【ナットに息づく匠の技を支える、全社一丸となって取り組み続ける5S活動】
 創業から約80年、ナット一筋に技術を磨き上げてきた富士製作所。常時10,000種以上のナットを常備する豊富な在庫、「高度熟練技能者」に認定される熟練工が材料の切断から仕上げ加工までを担う高度な技術力が強みです。
 なかでも有名なのが大型切削ナットで、ネジ径150mmまでのナットを規格品として揃えることから「大きなナットはフジ」と業界で広く認知されるほど。
 高い品質を保ちながら少量多品種・短納期にも応えられる富士製作所は、「東大阪ブランド認定」「大阪ものづくり優良企業賞」「元気なモノ作り中小企業300社」「近畿地方発明奨励賞」など数々の受賞歴も誇っています。
 ちなみに同社の大型ナットは国家プロジェクト級の橋梁や高速道路、船舶、原子力発電所、高層ビルなどに使用され、あの明石海峡大橋のワイヤーロープ結束部分でも数千個が使用されています。

フセハツ工業株式会社

【バネの製造・販売、二次加工をワンストップ提案】
 1950年の創業以来、「バネの総合メーカー」として各種スプリング製品の製造・販売を手掛けるフセハツ工業。
 自動車のクラッチに組み込まれる「ワイヤーリング」で日本トップクラスのシェアを誇るほか、さまざまな産業分野で使われるスプリング、例えば美容室のスタイリングチェアやハンドグリップなどのスポーツ用品、洗濯ばさみ用のピンチリングまで、多種多様なバネを生み出しています。
 見た目は小さなバネですが、それぞれが担う役割は非常に大きく、特に自動車や医療、環境分野におけるバネは欠くことのできない重要部品として高い品質と精度が求められます。
 現在約800社に製品を供給するフセハツ工業は今後もmade in Japanの品質を守るとともに、航空など新たな分野での事業拡大も推進中。
 その一方で、SNSを通じた個人ユーザーからのニーズにも応え、バネ1個の設計・試作にも細やかに対応する企業姿勢を大切にしています。

ワショウ金属工芸

【ワショウのヘラ絞りは機械には真似のできない職人技】
 「ろくろ」という機械に金型と金属板を取り付けて高速で回転させ、そこに「ヘラ棒」を押し当て、金型に沿って形をつくる「ヘラ絞り」。
 ワショウ金属工芸はこうした「手絞り」に特化する工場です。
 この道約60年の社長/土屋 良真(つちや かずまさ) さんと息子の土屋 善士(つちや ただし)さんの2人で切り盛りする工場には日本全国、海外からもオファーが寄せられ、手掛けた加工品は航空部品やロケット部品、医療機器、照明器具、業務用ファンや大型掃除機などの一部となって活躍しています。
 公差±0.03~0.05mmの精度、どこを取っても均一な肉厚を実現するのは、職人の力加減一つ。長年培った技術と経験、そして金属と対話する力であらゆる加工に応えるのがワショウ金属工芸の強みです。今後はこの唯一無二の技術を守るとともに、「ヘラ絞り」に携わる業界全体の技術の底上げを図るための協会設立が同社のビジョンとなっています。