職人の技を世界のブランドに！
社員の心を結ぶランチ会。

株式会社盛光SCM

工場の原点である金属加工技術で立ち上げた自社ブランド。

盛光SCMは1967年創業の金属加工会社。これまで大手照明メーカーや空間デザイナーの発注に応え、空間を彩るさまざまな照明器具の金属部品を製造してきました。板金加工や金型製造など、多彩な金属加工技術を誇る盛光SCMですが、創業時から続く工場の原点ともいえるのが「ヘラ絞り」と呼ばれる加工技術です。

▲自動機によるヘラ絞り加工の工程。高速回転させた丸い平面の金属板にヘラを押しつけると、ものの数分で筒型のパーツに変身。金属がまるで陶芸ろくろや飴細工のように形を変えていく不思議さが、見るものを圧倒します。

盛光SCMは、ヘラ絞り加工が発祥。約60年に渡り、様々な技術に磨きをかけた金属加工職人がいます。日本の宝でもある職人の伝統技術を「後世に残していきたい」との思いで、2014年に自社ブランド「NEEL」を立ち上げ。ヘラ絞りの技を生かした照明器具がミラノの展示会で注目を集め、「日本の技術はすごい！」と現地の職人たちを唸らせました。

▲ヘラ絞りによって生み出された、美しいフォルムの照明器具。ミラノの職人を唸らせたのはスタンドの細い管の部分。平たい円盤をヘラで細く絞るには相当な熟練の技が求められます。

自社ブランド「NEEL」を立ち上げたのは、3代目社長の草場寛子さん。原動力となったのは、日本の職人技への誇りです。「企業から依頼を受けているだけでは、私たちが持つ技術力は外に伝わらない。職人も社員も自分の技術に誇りを持てません。だからこそ、職人の技や生きざまを伝えられる自社ブランドが必要だと考えたんです」

▲草場社長が掲げる「下請け体質からの脱却」は徐々に浸透し、社員一人ひとりに「次は何を作ろう？」と企画から取り組もうとする心意気が感じられます。

社員が意欲的に活動することができるのは、同社ならではの風通しのいい環境があります。その一例が、毎週金曜に開催される社員食堂でのランチ会です。おかずを提供するのは地元の飲食店。「コロナで大変な地元の飲食店を少しでも助けたい」という想いで複数のお店に話を持ちかけ、現在に至っています。

▲開放的な社食堂でのランチタイム。地元の飲食店が作る「手作りの味」が社員たちの絆を育んでいます。

「部署や年齢が違う社員同士が楽しい食の時間を共有することは健康にも繋がるでしょう」という草場社長の狙い通り、社員たちはランチを囲んで和気あいあい。地元飲食店の「お母さんの味」が社員たちの距離を縮めているようです。そして、草場社長の「お母さんのような人柄」が、社員の心を一つにまとめ、これからの町工場のあり方を変える原動力となっています。

▲「初代である祖父の時代は家族経営の小さな工場でしたが、祖母が毎日せっせと皆の食事をこしらえていました。あの時の雰囲気を再現したいんです」と情熱あふれる草場社長。